電気事故に学ぼう46他物接触(鳥獣接触)による波及事故
過去5年間(平成19〜23年度)に四国内で発生した波及事故は、55件ありました。その発生原因としては、自然現象(雷)(19件)、自然劣化(14件)が多く、次いで作業者の過失(7件)、保守不完全(5件)、他物接触(鳥獣接触)(4件)などとなっております。
平成24年度は、11月13日現在、波及事故は11件発生しておりますが、今回は鳥獣接触波及事故事例を紹介します。
資料:中国四国産業保安監督部 四国支部 電力安全課
波及事故
使用電圧 | 6.6kV |
---|---|
設置場所 | 診療所 |
事故点の電圧 | 6.6kV |
主任技術者の選任形態 | 外部委託 |
事故発生月 | 9月 |
供給支障電力・時間 | 1,396kW 1時間5分 |
事故発生の電気工作物 | 開放型高圧区分開閉器 |
事故原因 | 他物接触(鳥獣接触) |
経験年数・年齢 | - |
天候 | 晴 |
事故概要
市街地にある事業場において、屋上に施設した開放型の高圧区分開閉器の1次側充電部に蛇が接触し地絡が発生した。この区分開閉器は地絡継電器がついていなかった。また、蛇が接触したのは区分開閉器の1次側であったため、継電器の保護の範囲外であった。このため、蛇の接触による地絡が原因となり波及事故となった。
この事故の被害は、供給支障電力1,396kW、供給支障時間1時間5分であった。
事故原因
- 開放型の高圧区分開閉器であったため、開閉器内部に常時、蛇が侵入できる構造であった。
- 地絡継電器がついていなかった。また、高圧区分開閉器1次側であったため地絡継電器の保護範囲外であった。
再発防止対策
密閉型の高圧区分開閉器(地絡継電器付)へ取り替えを行う。
波及事故を防止するためには・・?
高圧受電設備で事故が発生しても、配電線への波及事故に至らないように、区分開閉器にはGR付き高圧交流負荷開閉器(地絡継電装置付き高圧交流負荷開閉器)を取り付けることが有効です。
GR付き高圧交流負荷開閉器を取り付けましょう
波及事故について
お客さまの高圧受電設備などで起きた事故が原因で、電力会社の配電線に接続されている住宅、ビル、工場、病院、銀行、交通機関、交通信号システムなど、さまざまな範囲に停電が広がる事故を言います。波及事故が発生すると、自社の損失のみならず、他社の工場操業停止など、社会的に大きな影響をもたらします。
さまざまな被害を伴う重大な事故です。
平成24年度四国管内電気事故発生件数
(平成24年11月13日現在)
事故種別 | 事故発生件数 |
---|---|
感電死傷事故 | 0 |
感電以外の死傷事故 | 0 |
電気火災事故 | 0 |
社会的に影響を及ぼした事故 | 0 |
主要電気工作物破損事故 | 13 |
供給支障事故 | 0 |
波及事故 | 11 |
計 | 24 |