だから電気はおもしろい

だから電気はおもしろい

だから電気はおもしろい 第9回電気の安全守り隊(たい)

部屋の中。軽快な音楽が流れ、画面下からホワンくん一家がひょこっと顔を出す。  「こんにちは! 私は四国電気保安協会のマスコット、ホワンくん!」「私はセシアちゃん!」「僕はアースくん!」と順番に自己紹介。
これは当協会が、電気安全普及活動の一環として、今年3月に制作したオリジナルDVD「ホワンくん一家のもしもに備えて」の冒頭シーンです。
DVDは、家庭編と事業場編の2部構成。台風や地震、雷等の自然災害に備えて、電気の安全を守るための方法をご紹介しています。
家庭編では、個性豊かな家電製品のキャラクターたちも、にぎやかに登場します。
幅広い年齢層の方々にご覧いただきたいと考え、親しみやすく、わかりやすい内容となるように工夫しました。12分足らずの再生時間なので、見飽きることはありません。知っていただきたい事を、コンパクトにまとめています。
一方の事業場編は、工場や事業所の方々に知っていただきたい高圧受電設備や非常用発電設備等での対策方法となります。
少し専門的な内容となりますが、5分足らずの再生時間で、家庭編をご覧いただいた後に引き続き見ていただく構成にしています。
これまでも当協会では、電気安全や省エネに関するDVDを制作していて、これで4作目となります。
これらのDVDは、当協会が四国地域で年間100回程度開催している電気安全講習会等で教材として活用するために制作したものですが、ご希望があれば、貸し出しも可能となっています。(※1)
ご遠慮なくお申込みくださいね~。


「もしもに備えて」家庭編では、地震の際の備えとして、電気火災への注意を呼びかけています。
過去の大規模地震時の電気火災の発生状況は「こんなに多かったの?!」と驚いてしまいます。
詳しいデータをご紹介しましょう。

平成7年1月17日5時46分に発生した阪神・淡路大震災では、総出火件数285件の出火原因のうち電気に起因する火災が占める割合は、出火原因が不明なケース(146件)を除くと、約61%(85/139件)に達するといわれています。
さらに電気火災の内訳をみると、電熱器に起因したものが、約50%(42/85件)を占めていたそうです。
平成23年3月11日14時46分に発生した東日本大震災では、本震の地震動に起因する火災で電気が火源となったものは、約65%(71/110件)。
本震とは別に、余震や地震後の停電復旧、地震で破損した機器を使用したこと等に起因した火災でも、電気が火源となったものは約70%(37/53件)。
これらを合計すると、東日本大震災での地震型火災163件のうち約66%(108/163件)が電気火災であったそうです。
また、これらを出火状況別に見ると、本震の地震動に起因する火災では「使用中器具の破損・転倒等による出火」が、47件(71件のうち)と最も多くなり、余震等に起因する火災では「停電復旧後に出火」したものが21件(37件のうち)と最も多くなっています。(※2)

以上のとおり、阪神・淡路大震災や東日本大震災では、電気火災が多く発生していたことが、おわかりいただけたでしょうか。

以上のとおり、阪神・淡路大震災や東日本大震災では、電気火災が多く発生していたことが、おわかりいただけたでしょうか。

ちなみに、発火源の内訳として、電気ストーブ、電気コンロ、電気オーブントースター・電子レンジ、白熱灯といった機器名が並んでいるなかに、「鑑賞魚用ヒーター」がありました。鑑賞魚用ヒーターは、「空焚き防止機能」の付いていない古い製品等を使用している場合、水槽が倒れて床面に落下すると、雑誌やカーペット等の可燃物に着火するケースがあるとのこと。
こうした電気火災を防ぐためには、ブレーカーをOFFにしたり、コンセントからプラグを抜いたりしておけば安心ですが、いざという時にそのような行動がとれるとは限りません。
そのため最近では、電気火災の発生を抑制するために国や自治体が、住宅への「感震ブレーカー等」の設置をすすめています。
「感震ブレーカー等」とは、地震時に一定以上の揺れを感知した場合に、自動的に電気を遮断するもので、現在、市販されているのは、「分電盤タイプ」「コンセントタイプ」「簡易タイプ」の3種類に分類されています。
「分電盤タイプ」は、センサーが揺れを感知し、ブレーカーをOFFにします。
「分電盤タイプ」はさらに、分電盤にセンサーを内蔵した「内蔵型」と、既存の分電盤とは別に設置する「後付型」の2種類あります。
「コンセントタイプ」は、センサーが揺れを感知し、当該コンセントからの電気を遮断します。
「簡易タイプ」は、「バネの作動」によるものと、「重りの落下」によるものと2種類ありますが、いずれもブレーカーをOFFにするものです。
「感震ブレーカー等」は、設置者が自らのニーズに即して設置すれば良いことになっていますが、ちょっと迷いますね。
それぞれの特徴を、簡単に説明すると次のとおり。
「分電盤タイプ」を設置しておけば安心ですが、標準的な「内蔵型」で機器代が5~8万円程度。「後付型」なら2万円程度。どちらも電気工事が必要なので、その分の費用もかかります。
「コンセントタイプ」は、機器代が5千円~2万円程度。電気工事が必要なタイプと既存のコンセントに差し込むだけのタイプがあります。
安いのは「簡易タイプ」で、機器代3~4千円程度。電気工事は必要ありません。ただし、信頼性がやや劣ります。


最近、防災関係のセミナーを受講しました。
今年の4月14日と16日に発生した熊本地震。熊本は比較的地震が少ないといわれていたのに、大きな地震が起きてしまいました。私の今住んでいる香川県も、比較的地震が少ないなんて安心していてはいけないことがよくわかりました。
そして地震は、いつか起きるかも知れないではなく、今日にでも起きるかも知れないと考えて対策しておかなければならないこと。
また、防災訓練は、実効性のある内容でなくてはならないこと等々、学びの多いセミナーでした。
命を守ることが最優先。対策すべきことは様々ありますが、電気にまつわる被害を少なくする対策も、普段から気を付けて、もしもの時のためにしっかり備えておきましょう。


末筆ながら、このたびの熊本地震で被災された皆さまに、心よりお見舞い申し上げますとともに、被災地の一日も早い復旧・復興をお祈り申し上げます。


  • (※1)◇ご希望に応じてDVDの無料貸し出しも行っています。
     お申込み等は、【その他お問い合わせフォーム】をご利用ください。
  • (※2)「大規模地震時の電気火災の発生抑制に関する検討会」報告書より 事務局 内閣府(防災)、総務省消防庁、経済産業省
    http://www.bousai.go.jp/jishin/syuto/denkikasaitaisaku/pdf/guideline_houkoku.pdf