電気事故に学ぼう68故意過失(作業者による過失)による波及事故
平成29年度の四国支部管内における波及事故については、3月31日現在、5件発生しています。
四国支部管内における過去5年間(平成24〜28年度)に発生した波及事故(計50件)の主な原因は、自然現象(雷)(19件)で、ついで、保守不備(自然劣化)(15件)、他物接触(7件)、保守不備(保守不完全)(5件)などとなっています。(※)
今回は、故意過失(作業者による過失)による波及事故例を紹介します。
※1件の事故が2以上の原因による場合があるため、原因件数の累計と事故件数の累計は異なります。
資料:中国四国産業保安監督部 四国支部 電力安全課
波及事故
使用電圧 | 6.6kV |
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設置場所 | 工場 |
事故点の電圧 | 6.6kV |
主任技術者の選任形態 | 選任 |
事故発生月 | 4月 |
供給支障電力・時間 | 2,861kW 50分 |
事故発生の電気工作物 | 避雷器 1994年製 |
事故原因 | 作業者の過失 |
経験年数・年齢 | - |
天候 | 小雨 |
事故概要
工場操業時間外に、工場において停電が発生した。連絡を受けた電気主任技術者が、現場調査を実施したところ、過電流ロック型高圧引込気中開閉器のGR動作表示灯がオレンジ色に反転していることを確認した。その後、受電キュービクル内のVCBを開放し、受電キュービクルおよび引き込み設備に異常がないか、目視点検および絶縁抵抗測定を行った。引き込みケーブルの絶縁抵抗が0付近であったものの、過去に発生したカラスの営巣による停電時と状況が似ていたため、異臭や目視での異常がないことを確認した後、高圧引込気中開閉器を投入した。その後の調査の結果判明したことであるが、GR動作の原因は避雷器の絶縁不良であったため、約30分後に再度地絡し、同GRの制御電源をVCB二次側から供給していたため、GR不動作により波及事故に至ったものである。
事故原因
今回の事故の原因としては、
- 高圧引込気中開閉器のGR制御電源が、外部電源であるにも関わらず、受電キュービクルのVCBを遮断したまま投入した状態を継続したこと
- GR動作表示、引き込みケーブルの絶縁抵抗が0付近であることを確認しているにもかかわらず、過去の経験から十分な調査を行わないまま送電作業を行ったこと
以上のことにより、作業者の過失により発生した事故である。
再発防止対策
- 引込気中開閉器を電源内蔵型(LA内蔵型)に変更した。
- 構内で停電が発生した際には、今回のように、主任技術者1名での復旧作業を行わずに、作業の適切性について2名以上で協議しながら作業を行うこと、送電作業の場合には電気事業者と連絡を取りながら実施するよう体制を変更した。
平成29年度四国管内電気事故発生件数
(平成30年3月31日現在)
事故種別 | 事故発生件数 |
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感電死傷事故 | 1 |
感電以外の死傷事故 | 0 |
電気火災事故 | 0 |
他物損傷・機能被害事故 | 2 |
主要電気工作物破損事故 | 41 |
発電支障事故 | 0 |
供給支障事故 | 1 |
波及事故 | 5 |
ダム異常放流事故 | 0 |
社会的に影響を及ぼした事故 | 1 |
計 | 51 |