電気事故に学ぼう50保守不備(保守不完全・自然劣化)による波及事故
過去5年間(平成20〜24年度)に四国内で発生した波及事故は、59件ありました。その発生原因としては、自然現象(雷)(22件)、自然劣化(15件)が多く、次いで他物接触(鳥獣接触)(6件)、作業者の過失(5件)、保守不完全(5件)、などとなっております。平成25年度は、11月10日現在、波及事故は6件発生しておりますが、今回は保守不備(保守不完全・自然劣化)による事故事例を紹介します。
資料:中国四国産業保安監督部 四国支部 電力安全課
波及事故
使用電圧 | 6.6kV |
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設置場所 | 清掃センター |
事故点の電圧 | 6.6kV |
主任技術者の選任形態 | 外部委託 |
事故発生月 | 9月 |
供給支障電力・時間 | 1,010kW 1時間59分 |
事故発生の電気工作物 | 鉄筋コンクリート柱 |
事故原因 | 保守不備(保守不完全・自然劣化) |
経験年数・年齢 | - |
天候 | 曇 |
事故概要
所内の引込み用鉄筋コンクリート柱が倒壊し、波及事故に至った。
状況を確認したところ、折損部は地際付近で発生しており、6本ある鉄筋のうち4本の鉄筋が地際部下10cm付近で破断していた。コンクリート柱の破断面の上部には別のひび割れも認められた。
これまでの定期点検における受電設備の測定結果は良好であった。
事故原因
事故が発生したコンクリート柱については、当初設計時には設計荷重など問題なく設定されていたものの、支線が張られておらず、強風時には電線が一方的に引っ張られることにより不平衡張力が発生しやすい状態になっていた。
不平衡張力が長年加わったことによりコンクリートにひび割れが発生し、ひび割れた部分から雨水が浸入して鉄筋が腐食し倒壊に至った。ひび割れが認められた面には配管が覆い被さるように通っていたことから、日常点検の際にひび割れを発見しづらい状態にあった。
再発防止対策
- コンクリート柱の建て替え時に支線を設置することで不平衡張力の発生を未然に防止。
- 保安法人が担当している事業所内で類似の事例がないか確認するとともに、点検の手引きに点検ポイントの拡充や今回の事故事例を掲載することで点検レベルの向上を図る。
経済産業省では「目視できない箇所等における高経年化した電気設備等の点検強化等の徹底について(注意喚起)」との文書を平成25年8月23日に各電気事業者宛に発出しました。この文書では
- 目視できない箇所等における電気設備の点検(外装保護管路内に施設されたケーブルの接水状態の確認や超音波センサによる絶縁体劣化状況の測定など)の強化の徹底
- 適切な予防保全措置(経年劣化した電気設備の改修・更新など)
をお願いしております。
この文書は自家用電気工作物の設置者に対して発出されたものではありませんが、自家用電気工作物の電気主任技術者の皆さんにおかれましてもご協力をお願いします。
波及事故を防止するためには…?
経年の進んだ配電設備(電柱、電線、柱上変圧器ほか)などに対する重点的な点検・補修や、計画的な設備更新や、設備の寿命推定精度のこうなど、高経年設備の更新に向けた調査・分析を積極的に実践しましょう。
経年の進んだ配電設備の計画的点検、補修、設備更新が重要。
平成25年度四国管内電気事故発生件数
(平成25年11月10日現在)
事故種別 | 事故発生件数 |
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感電死傷事故 | 2 |
感電以外の死傷事故 | 0 |
電気火災事故 | 0 |
社会的に影響を及ぼした事故 | 0 |
主要電気工作物破損事故 | 11 |
供給支障事故 | 0 |
波及事故 | 6 |
計 | 19 |